レム睡眠行動障害で眠れない

 

寝てる間に暴れてどこかにぶつかって怪我をしたり、一緒に寝ているパートナーを傷つけてしまうおそれがある危険な病気をご存知ですか?

レム睡眠行動障害という病気になると、睡眠中に大声で叫んだり、暴れて手足を振り回したりしてしまいます。

 

なぜこのようなことが起きるかというと、本人が夢で見ていることに対して反応して体を動かしているからなのです。

普通は夢を見ていてもせいぜい寝言をむにゃむにゃと言うくらいで、体を大きく動かすことはできないのですがレム睡眠行動障害ではそれが起きてしまいます。

 

レム睡眠行動障害とはなにか、なぜ起きるのか、治療法について見ていきましょう。

レム睡眠行動障害ってなに? 寝ているときに暴れる病気です

レム睡眠行動障害とは、寝ている最中に大声で叫んだり、手足を振り回して暴れたり、むくりと起き上がって歩き回る睡眠に関する病気(睡眠障害)のひとつです。

 

その名のとおり、レム睡眠中にこれらの行動が起こります。

人の睡眠は大きく分けてレム睡眠という浅い眠りとノンレム睡眠という深い眠りの2つの繰り返しで成り立っています。そして、人はレム睡眠中に夢を見ていると考えられています。

 

レム睡眠行動障害で睡眠中に叫ぶ、暴れるといった行動が起きるのは、自分が襲われる・攻撃される・何かに追われるといった夢を見ていて、それに対抗したり、逃げたりしているからです

 

レム睡眠中は脳は起きていて、体は寝てゆっくり休んでいる状態です(筋肉に力が入りません)。

そのため普通はレム睡眠中に体を大きく動かすことはできないのですが、レム睡眠行動障害ではそれがなんらかの原因でできるようになってしまい、上に書いたような症状が起きてしまうのです。

 

 

レム睡眠行動障害は、おおよそ125人に1人の割合で発症し、女性よりも男性、特に高齢者に発症者が多い病気です。

 

もし朝起きたら体のどこかが怪我をしていた、睡眠中にパートナーがあなたに手をあげられたということがあれば、レム睡眠行動障害を疑う必要があるでしょう。

 

 

夢遊病との違いは?

睡眠中に動き始めるといえば、子どもが寝ているときにふらふらと起き上がって歩き回る夢遊病を思い浮かべる方もいるかもしれません。

ですが夢遊病とレム睡眠行動障害はまったく別の睡眠障害です。

 

レム睡眠行動障害は上に書いたように浅い眠りのレム睡眠時に夢に連動した動きを取るのに対して、夢遊病は深い眠りのノンレム睡眠時に行動が起きることが分かっています。

 

そのため夢遊病で動き回っている人を起こそうとしてもなかなか目が覚めず、朝起きても記憶がないことがほとんどです。

 

 

どうしてレム睡眠行動障害は起きるの? 原因は?

レム睡眠行動障害の原因ははっきりとは分かっていませんが、患者の半数は神経系の病気を併発していることが明らかになっています。

 

たとえば、安静時に手足がふるえるなどの症状があるパーキンソン病や脳腫瘍などの脳疾患です。

逆にそういった病気の前触れとしてレム睡眠行動障害が起こることもあります。

また、ストレスやアルコールはレム睡眠行動障害を悪化させる要因になります。

 

 

レム睡眠行動障害の診断方法

レム睡眠行動障害は、一緒に寝ている人がいればそういった人の指摘や朝起きた時に怪我をしているなどすれば疑うことができますが、確定させるためには終夜睡眠ポリグラフ検査というものが必要です

 

終夜睡眠ポリグラフ検査は、一泊二日で専門機関で睡眠を取ってもらい専門家が睡眠状態をモニターすることで、睡眠中の異常や睡眠障害を発見する検査方法です。

 

睡眠中の脳波、呼吸状態、筋肉の活動状態、寝言、睡眠中の眼球や体の動き、心電図などを測定することで、睡眠中に無呼吸状態になってしまう睡眠時無呼吸症候群や突発的に居眠りが起きてしまうナルコレプシー(居眠り病)、そしてレム睡眠行動障害などの睡眠障害が分かります。

 

終夜睡眠ポリグラフ検査の費用は、保険適用の3割負担で15,000円~20,000円程度です。

少し高いですが、様々な睡眠障害についてまとめて検査することができるので、眠りに問題を抱えている方はやってみる価値があります。

 

 

レム睡眠行動障害の治療法は? 有効な薬など

レム睡眠行動障害を完治させる根本的な治療法は残念ながらまだ見つかっていません。

ですが、薬を使うことで9割の患者さんが症状がなくなったり、軽くなったりしています。

レム睡眠行動障害の治療に使われる薬などを紹介していきます。

 

 

リボトリール、ランドセン(クロナゼパム)

ベンゾジアゼピン系と呼ばれる分類の抗不安薬(不安をやわらげる薬)です。

 

非常に様々な症状に応用される薬で、不安、憂うつ感、そわそわ、いらいら、てんかん、むずむず脚症候群、そしてレム睡眠行動障害にも有効な薬です(ただし、あくまで対症療法です)。

一度飲めば効果は24時間程度続くので、1日1回の服用で済みます。

 

この薬は眠気を起こしたり、悪夢を抑える効果もあるので不眠症に悩んでいる方にはかなり効果の高い薬です。

リボトリールについては別の記事で詳しく書いているので、ぜひこちらもご覧ください。

悪夢に効く薬 リボトリールの効果 睡眠薬で熟睡できない方へ

 

 

ビ・シフロール(プラミペキソール)

ビ・シフロールは元々パーキンソン病という手足がふるえるなどの症状がある神経病の治療薬です。

パーキンソン病の症状は脳内でやる気や快感をコントロールしているドーパミンというホルモンの働きが低下することで起こることが分かっていて、この薬はドーパミンの働きを活性化させることで症状を改善します。

 

ビ・シフロールが実はレム睡眠行動障害にも有効であり、リボトリールで改善しない場合はこの薬で症状が劇的に改善する可能性があります。

 

 

メラトニン(サプリメント)

メラトニンは脳内で眠りをコントロールしているホルモンです。

夜になると自然にメラトニンの分泌量が増えて、人は眠くなります。このメラトニンを摂取することでレム睡眠行動障害の症状が軽くなるという報告があります。

 

ただし、メラトニンのサプリメントは日本国内では発売されていないので、入手する場合は個人的に輸入販売店などを利用するしかありません。

メラトニン自体は危険性は高くなく、特にアメリカではポピュラーなサプリメントとして利用されています。

 

 

まとめ

レム睡眠行動障害は、なんらかの理由で浅い眠りのレム睡眠時に筋肉を動かすことができるようになることで、夢の中と同じ行動をしてしまう病気です。

 

そういった場合見ている夢は自分が追われる、襲われるなどの夢で手足を振り回して暴力をふるってしまうなどで、自分自身や一緒に寝ているパートナーなどが怪我をしてしまう危険性があります。

 

原因ははっきりとは分かっていませんが、患者の半数以上は神経系の病気を発症していることが分かっています。

レム睡眠行動障害が神経系の病気の前兆であることもあります。

 

朝起きた時に覚えのない怪我をしていたり、部屋がとっちらかっていたり、一緒に寝ていた人に指摘されるなどの見に覚えがあれば、すぐに専門機関で検査してもらいましょう。

レム睡眠行動障害の検査には終夜睡眠ポリグラフ検査というものが必要です。

 

治療法は、まずは症状を悪化させるストレスやアルコールを避け、そのうえで薬による治療を行います。

放置していても治る病気ではありませんし、自分自身や一緒に寝ている人にも危害が及ぶ可能性のある病気のため疑いがあれば、すぐに病院にかかるようにしましょう。