パニック障害で眠れない

不眠でお悩みの方で、急にわけもなくめまいや動悸に襲われて、それと同時に冷や汗が出たり強い不安を覚えたりした経験はありませんか? たとえば、満員電車のなか、人混みのなか、会社で・・・。

 

そういった場合は、もしかしたらあなたはパニック障害を発症しているかもしれません。パニック障害は、不眠症も併発しやすい病気です。

 

パニック障害とはなにか、パニック障害で不眠症になる理由、発症してしまう原因と対策法についてこちらで詳しく見ていきましょう。

パニック障害ってなに? 突然パニックになる病気?

パニック障害は、満員電車のなか、人混みなどの閉鎖的な空間や人の多い場所、または職場などストレスを強く感じる場所でパニック発作というものを度々起こしてしまう病気です。

 

パニック発作とは、突然の強烈な不安感、めまい、動悸、冷や汗、胸の苦しさや強い圧迫感などを感じることです

 

身体的にはトラブルが起きているわけではないのですが、発作が起きた時にはあまりにも症状が辛く「このまま死ぬのではないか」、「心臓の病なのではないか」といった誤解が起きることがあります。

 

発作は一時的なもので、しばらくするかそういった場所を離れると症状が治まってきます。しかし、一度パニック障害になると同様のシチュエーションでまた発作が起きるようになります。

 

これが怖くなって、「またあの症状が起きるんじゃないか」と神経質になり、よりパニック発作が起きやすくなる予期不安といった症状が起こるのも特徴です。

 

さらに進行すると、電車に乗れない、人混みが恐い、会社に行けない、もっといくと外出が恐いといった広場恐怖症という症状も出てきます。

 

実はパニック発作は急に強いストレスに襲われるとパニック障害でない方も起きることがあります。ただ一度パニック発作を起こしただけではパニック障害ではありません。度々パニック発作が起きて、予期不安、広場恐怖症へと進行していくのが典型的なパニック障害です。

 

 

電車内や職場などで急に強い胸の苦しみ、圧迫感、動悸に襲われたことはありませんか? それを心臓のトラブルや単なる疲れと勘違いしているかもしれません。それはパニック障害の可能性があるのです

 

 

パニック障害で不眠になる?

パニック障害の方は、不眠症も同時に持っていることが多いという調査結果があります。パニック障害と診断された100名の患者を対象に、睡眠に関する質問表を使った調査を行った結果100名中86名がなんらかの不眠症状を持っていることが明らかになったのです。

 

そのなかで最も多い不眠の症状は、熟睡感がない、ぐっすり眠れないというものでした。夜ぐっすり眠れないという悩みをお持ちの方で、上に書いたような頻繁なパニック発作や予期不安などが起こったことがある方はパニック障害を疑う必要があります。

 

パニック障害の診断方法 間違いやすい病気は?

パニック障害の診断では、上に書いたパニック発作があるか、それが1ヶ月以上持続しているか、予期不安があるかなどが重要なポイントとなります。また、他の病気の症状ではないということも確認しなければなりません。

 

以下に、アメリカ精神医学会が作ったDSMV(精神障害の診断と統計マニュアル第5版)の診断基準を引用します。

 

A.繰り返される予期しないパニック発作。パニック発作とは、突然、激しい恐怖または強烈な不快感の高まりが数分以内でピークに達し、その時間内に、以下の症状のうち4つ以上が起こる。

(1)動悸、心悸亢進、心拍数の増加
(2)
発汗
(3)
身震いまたは震え
(4)
息切れ感または息苦しさ
(5)
窒息感
(6)
胸痛または胸部不快感
(7
)嘔気または腹部不快感
(8)
めまい感、ふらつく感じ、頭が軽くなる感じ、気が遠くなる感じ
(9)
寒気または熱感
(10)
異常感覚(感覚麻痺またはうずき感)
(11)
現実感消失または離人感(自分自身から離脱している)
(12)
抑制力を失うまたは「どうかなってしまう」ことに対する恐怖
(13)
死ぬことに対する恐怖

B.発作のうちの少なくとも1つは、以下に述べる1つまたは両者が1か月以上続いている

(1)更なるパニック発作またはその結果について持続的な懸念または心配
(2)
発作に関連した行動の意味のある不適応的変化(パニック発作を避けるような行動)

C.その障害は、物質の生理学的作用(例:乱用薬物、医薬品)、または他の医学的疾患(例:甲状腺機能亢進症、心肺疾患)によるものではない

D.その障害は、他の精神疾患によってうまく説明されない。

引用元:パニック障害はどのように診断されるのか? 輪唱でのパニック障害診断法(http://seseragi-mentalclinic.com/pddiag/

 

動悸や胸の圧迫感といった症状から、パニック発作を経験されたパニック障害の患者さんは心臓や他の身体の不調と考えてしまいがちです。他の病気の可能性を除外するために、問診の他に尿、血液、心電図検査が行われることがあります。

 

 

パニック障害の原因は?

パニック障害の原因はまだすべて明らかになっているわけではありませんが、脳内で恐怖や不安、意欲をコントロールするノルアドレナリンというホルモンと、リラックスや安心感などをコントロールするセロトニンというホルモンの働きが弱っていたり過剰になっていたりすることだと考えられています。

 

 

実際にセロトニンやノルアドレナリンに働きかけるうつ病の薬(抗うつ薬)がパニック障害に有効であることから、この説の信頼性は高いです。

 

 

そしてこれらのホルモンのバランスを崩す要因となるのがストレスや過労、睡眠不足、カフェインやアルコール、タバコなどです

 

 

パニック障害の治療法と対策

パニック発作や予期不安を治療するために重要なのは、心理教育、薬物療法、認知行動療法、パニック障害を悪化させる要因を避けることの4つです。

 

心理教育

これはパニック発作が心臓病や脳の病などではなく、死ぬおそれはないと知ることです。パニック障害の予期不安は、このパニック発作はいったいなんなのか? 自分は死んでしまうのではないか? という恐れで悪化します。

 

そのためパニック発作が起きても死ぬわけではないこと、一時的なものでちゃんと治療が可能であると知ることが治療の第1歩になります。

 

 

薬物療法

うつ病に使われる抗うつ薬のなかでもSSRIと呼ばれる分類の薬、たとえばルボックスやジェイゾロフトといった抗うつ薬はパニック障害の治療に効果的です。ルボックスやジェイゾロフトは脳内のセロトニンの作用を高める働きを持っています。

 

 

セロトニンの働きが不足することによって人は不安や憂うつを感じやすくなり、不眠症などが起きることが分かっており、これらの症状の治療に効果的です。

 

 

また、抗不安薬という不安を即効で軽くする薬も効果的です。抗うつ薬は効果が出るのに最低1ヶ月程度かかるのに対して、抗不安薬は即効で不安をやわらげる効果を発揮します。

 

 

ただし、抗不安薬にはパニック障害を根本から治療する効果がなくてあくまで対症療法となります。また、1ヶ月以上の長期間使うと依存してしまったり、やめにくくなってしまう危険性があります。

 

 

認知行動療法

認知行動療法は、脳の間違った学習を行動によって修正していく治療法です。パニック障害の方の場合、「電車に乗ると」、「人混みに行くと」→「パニック発作が起きる」という学習を脳が行っています。これらの学習によって予期不安が起こって、こういった場所を避けるようになってしまうのです。

 

まずは実際に行くのではなく行った場面を想像するなどして少しずつ「その場所に行ってもパニック発作は起きない」という経験を脳に覚えさせて、慣らしていきます。

 

ただし、この方法はパニック発作を意図的に起こしてしまう可能性があるので、専門医の助言のもと行わなければなりません。

 

 

パニック障害を悪化させる要因を避ける

パニック発作は、ストレス、タバコ、カフェイン、アルコールなどで悪化することが分かっています。このうちタバコ、カフェイン、アルコールはパニック障害の方はすぐやめましょう。

 

ストレスについては、別の記事でストレスの効果的な発散法やストレスに強い身体づくりについて書いているのでぜひそちらをご覧ください。

ストレスが原因で眠れないなら5つの方法+αで眠れるようになる

 

 

 

まとめ

パニック障害は、電車内や人混みなどの特定の場所で、急な強い不安・めまい・動悸などに襲われるパニック発作やパニック発作がいつ起こるか分からなくて怖くなる予期不安、それが悪化して外に出られなくなってしまう広場恐怖症などが特徴的な病気です。

 

 

パニック障害の方の86%はなんらかの睡眠障害を持っていることが明らかとなった調査結果もあり、パニック障害と不眠症には関係性があります。もし夜ぐっすり眠れない方で、電車内などで急に具合が悪くなって、心臓病や脳の病などを疑ったことがある方は、パニック障害の可能性があります。

 

 

そういったときは、内科や精神科、心療内科などに行って専門医に診察を受けて、血液検査や心電図検査などを通して自分がパニック障害かどうかをはっきりさせましょう。

 

 

パニック障害の治療のためにはまず自分がパニック障害であり、パニック発作で死ぬことはないことを知り、薬や認知行動療法を使いつつ、パニック発作を起こすタバコやカフェイン、アルコールを避けて、適度にストレス発散をすることが必要です。