強迫性障害は不安から不眠に

強迫神経症、または強迫性障害という病気をご存知でしょうか? 強迫性障害は、頭では無意味だし疲れることと分かっていながらも自分のこだわりがやめられない病気です。こだわりをやめられないことで、不眠症が起きる可能性があります。

 

人が触ったものに触れない、一日に何回も手を洗ったり、なんでもアルコール除菌をするなどの潔癖症や外出するときや寝るときにガスの元栓は閉めたか、家のドアは鍵を閉めたかなどが気になって毎日のように何度も確認してしまうなどは強迫性障害の典型例といえます。

 

※程度にもよりますので、人の握ったおにぎりを食べたくないとか、たまに外出時に鍵を閉めたか不安になる程度であれば強迫性障害ではありません。

 

この記事では、強迫性障害とはなにか、原因と治療法などについて詳しく書いていきます。上に書いたような強迫行為で日常生活が辛い方、不眠に悩んでいる方はぜひご覧ください。

強迫性障害とは

強迫性障害(強迫神経症)は、上に書いたように自分でもおかしいとは思いつつも、こだわりをやめると不安や不快な気持ちが沸いてきて抑えられない状態(強迫観念)とそれを治めるためにこだわりを徹底する行動(強迫行為)の2つの症状が特徴の病気です。

 

強迫観念や強迫行為には非常に様々なものがありますが、典型的なものを下に挙げていきます。

 

潔癖症、不潔恐怖症

何度手を洗っても不潔な感じがする。電車やバスで座れない吊革をつかむなんて持ってのほか。なんでもアルコール消毒しないと気がすまない。外でトイレを使えない。不衛生が怖くて外食できないなどの症状があります。

 

確認行為

外出するときや就寝するときにドアの鍵を閉めたか、ガスの元栓を閉めたかを気にして何度も戻って確認する。

 

場所を移動するときに忘れ物や落とし物はないか、心当たりがないのに時間をかけて何度も確認したり、移動した後も戻って確認したくなるなどの症状があります。

 

加害恐怖

自分の不注意で人を傷つけてしまうのではないかと不安になる。車を運転すると知らないうちにどこかにぶつけたり、誰かを轢いてしまったのではないかと思い確認したくなったり、実際に確認に戻ってしまう。赤ちゃんや子どもを見るだけで自分が傷つけてしまうのではないかと不安になるなどの症状があります。

 

縁起恐怖

ある特定の行動を行わないと不幸な目に会う気がする。◯◯するといつも悪いことが起きる、日常生活のあらゆるときに死を連想させる4を回避しようとするなどの症状があります。実際にはそれらと悪いことが起きることには関連性がありません。

 

ここでポイントなのは、本人も上記のような行為が無意味であったり、やったところでしょうがないことだと認識していることです。しかし、やらないとどうしても不安でやってしまうのが強迫性障害の特徴です。

 

また、場合によってはこれが自分だけにとどまらず周りの人にまで自分のこだわりを強要することもあります(巻き込み)。他の人にも自分と同じぐらい清潔に気遣ってほしいなどです。

 

強迫性障害による不眠は、これらのこだわりをどうしてもやめられないために起こる強迫行動によって物理的に睡眠時間が削られたり、不安で寝付きが悪くなったり、眠りが浅くなることで起きるのです。

 

 

強迫性障害の原因は?

かつては心理的な要因や社会的な要因によって発症すると思われていました。しかし、現在は脳内の特定部位になにか問題が生じたり、リラックス効果を発揮するセロトニンや意欲・学習などに関係するドーパミンといった脳内ホルモンのシステムに異常が発生していることなどが原因として有力です。

 

また、元々几帳面や完璧主義のような性格の持ち主は発症しやすいと言われており、発症にはストレスも関係しています。ただし、多くの場合は特に前触れもなく発症します。

 

 

診断方法と同じ症状を持つ他の病気について

強迫性障害の診断方法は、強迫行為と強迫行動が日常的にあって生活に支障をきたしているかどうかが一番のポイントになりますが、他にも同じような症状が発生する病気があるため、それらとの区別が必要です。

 

うつ病統合失調症、チック症といった病気や脳炎、てんかんなどの病気でも同様の症状が発生するときがあります。これらが原因の可能性がある場合は、血液検査、頭部CTMRI検査や脳波検査などで詳しく調べる必要があります。

 

アルコール依存症ギャンブル依存症も「やめなくてはならないとわかっているが、やってしまう」という点では同じですが、お酒を飲んだり、ギャンブルをすることで一種の快感を覚えるのに対して強迫行為を行っても苦しいだけという点で異なります。

うつ病は不眠を起こす。間違えやすい他の病気も知っておこう。

辛いアルコール依存症を治して不眠症も治そう。

→統合失調症と不眠の関係について(近日公開予定です)

 

 

強迫性障害の治療法

治療法には、薬を使うものと心理的に働きかける精神療法の2つがあります。

 

強迫性障害に使われる薬

強迫性障害には、セロトニンの作用をアップさせることが有効なことが分かっています。うつの薬は、セロトニンの作用を高める効果があるので、うつの薬が治療に使われます。薬の名前(有効成分名)という書き方で紹介いたします。

 

アナフラニール(クロミプラミン)

ルボックス、デプロメール(フルボキサミン)

ジェイゾロフト(セルトラリン)

パキシル(パロキセチン)

レクサプロ(エスシタロプラム)

うつ病の薬で眠くなる? 不眠になる?

 

精神療法

精神療法では、暴露反応妨害法という治療法が有効です。暴露とは、強迫性障害の患者さんが持つこだわりをあえて刺激することです。潔癖症の方であれば、他の人が触ったものに触らせるなどです。

 

そして、反応妨害とはそれに対して行う強迫行為を強制的に止めさせることです。上の例でいえば、そのあと手を洗うのを止めさせます。

 

これらを組み合わせたのが暴露反応妨害法で、強迫観念を起こさせたうえで、強迫行為はやめさせます。不安から強迫行為を行っているので、やめさせられると当然不安を覚えたり、不快になったり、ストレスを感じます。治したいと思っていても、それは怖いですよね。

 

ですが、専門の医療機関で治療すればいきなりこ暴露反応妨害法はせずに、次のような段階をしっかり踏んで最大限不快感を少なくしたうえで治療が行われますのでご安心ください。

 

1.数回の面接

患者さんの症状やそれによる日常生活の辛さを深く聞いて症状の程度を調べます。

 

2.心理教育

この記事で紹介したような強迫性障害についての知識や暴露反応妨害法の必要性についてを学びます。

 

3.治療計画作成

ここまで来てようやくどのようなスパンで、どれくらいの暴露をするかを患者さんと一緒に計画を作ります。

 

4,治療開始

汚いと思う→手を洗うという一連の流れを断ち切らないと、何度もこれが繰り返されて症状はどんどん悪化してしまいます。辛くて苦しいですが、楽になるために勇気を持って医師の指導のもと治療に望みましょう。

 

 

まとめ

強迫性障害は、無意味で辛いことだとわかっているのに手を洗うのがやめられない、戸締まりの確認がやめられない、ふとしたはずみで人を傷つけてしまうんじゃないかなどの不安に襲われる病気です。

 

これらの強迫観念と強迫行為のせいで物理的に睡眠時間が削られたり、不安で寝付きや眠りの質が悪くなることがあります。

 

強迫性障害の原因は、脳内の特定部位に問題が生じていたり、セロトニンなどの神経伝達物質になにか問題があるという説が有力です。治療には、セロトニンの機能をアップさせる薬やあえて強迫観念を起こして強迫行為は封じる暴露反応妨害法という心理療法の2つがあります。

 

強迫行為は、わかっているのにやめられないので辛く苦しいことです。もし自分が当てはまると思ったら、治療法は上のように確立しているので、専門の医療機関でしっかりと治療を受けましょう。